不妊症とは、男女が妊娠を希望し避妊することなく通常の性交渉を一年以上継続的に行っているにもかかわらず妊娠の成立をみない場合をいう
近年では全夫婦の約10パーセントが不妊症だといわれています。不妊症で悩んでいる人は身近に意外と多いのですが、デリケートな問題のため他人に相談しにくいという方が多くいます。
不妊治療を始めるには様々な壁があります。
・不妊専門病院に行くことに抵抗がある
・保険適用でないことが多く経済的に負担が多いのに、沢山お金をかけたからといって妊娠するとは限らない
・女性には生殖年齢というものがある
etc...
子供を作るためには、卵子と精子が必要です。卵子は胎児の時点ですでに一生分作られます。個人差はありますがその数約200万個。出生後は原子卵胞という形でしばらく眠りに入りますが、思春期までに約20万個~30万個まで減少するといわれています。思春期になると毎月何十個もの卵胞が目を覚まし、成熟した一個の卵子だけが排卵して他は消えていきます。そして40代後半になるとほとんどの卵胞がなくなり閉経を迎えます。つまり、出生以降卵巣は卵胞を保管しておく場所にすぎず、卵子が作られることは無いのです。
不妊治療をされている方なら【卵子の質】という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。30歳くらいまでは卵子の質が保たれるといわれていますが、30歳を過ぎたあたりから徐々に質の低下があらわれ始め、35歳くらいから急激に下がります。そして卵子の質の低下とともに妊娠率も下がっていきます。
一方、精子は毎日作られ、ホルモンの刺激を受けて約80日で射精可能な状態になります。
毎日作られる精子に対し女性は卵子を消費していく。つまり、女性には妊娠できるリミットがあるのです
女性の社会進出に伴い結婚出産年齢が上がっていき、30歳を過ぎてから妊娠を望まれる方が増えてきています。しかしその頃にはもうすでに卵子の質の低下は始まっているのです。子宝治療で鍼灸を受けに来る方の多くは、「まさか自分が妊活するとは思わなかった」「もっと早くから子作りをはじめていればよかった」とおっしゃいます。卵子の質の低下や妊娠率の事なんて誰からも教わってこなかったからです。
ではそこで諦めてしまいますか?答えはNOですよね。卵子の質が低下していくのであれば努力して改善させていけばいいのです。
まずは生活習慣の見直しです。人の身体は食べたもの飲んだものから出来上がります。質の良い食事、質の良い睡眠をとり適度な運動を心がけましょう。一度に多くの事をしようとせず、できることから始めていけば身体は必ず変わります。
そしてここからが鍼灸治療の出番です。鍼灸で身体の気や血の巡りを改善させることで身体のバランスを整えていきます。気血の配分がきちんとされることで子宮卵巣へ栄養が行き届き、卵子の質も向上し子宮内膜が厚くなることが期待されます。
つまり、鍼灸で妊娠しやすい身体にしていくのです。
時間はかかりますが、器質的な問題が無い方でしたら鍼灸治療を受けて妊娠される方は大勢います。日頃の生活習慣の向上とともに鍼灸の効果も上がっていきます。
子宝治療において女性は精神的肉体的負担がかなり大きいです。悩みすぎたり不安な気持ちでいっぱいになると気が停滞し巡らなくなります。そんな時は何でも話してください。話すことで気持ちがすっきりして気の循環が良くなります。話すことも立派な治療のひとつですので、どんな些細なことでもため込ます発散することがとても大切です。
不妊症は病気ではありません。ですが治療には根気がいります。集中して治療を続けて身体を整えていけば、きっと赤ちゃんを授かることが出来る日が来ると信じています。